車のエアコン温度が設定通りにならない時の点検手順|冷風・温風が切り替わらない原因

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車のオートエアコンで、 設定温度を変えているのに吹き出す風の温度がほとんど変わらない という症状が出ることがあります。

例えば、

  • 18℃では冷たいが、25℃や28℃にしても同じように冷たい
  • 30℃付近まで冷風のまま
  • 32℃など最大温度にした時だけ急に温風になる
  • 逆に温風から冷風へうまく切り替わらない

といった症状です。

このような場合、単純に「エアコンが冷えない」と考えるだけでは 原因を絞り込みにくいことがあります。

冷媒不足やコンプレッサーだけでなく、 エアミックス機構・内気温センサー・外気温センサー・日射センサー・エアコン制御系 なども確認する必要があります。

この記事では、 設定温度通りに風温が変わらない時に、どの順番で確認していけばよいか を点検手順として整理します。

まず症状を整理する

最初に大切なのは、 「冷えない」「暖まらない」だけで判断せず、 どの条件でどう変化するのかを確認することです。

次の項目を確認しておくと、 原因を切り分けやすくなります。

  • 最低温度では冷風が出るか
  • 最高温度では温風が出るか
  • 設定温度を1〜2℃ずつ変えると風温が変化するか
  • AUTOと手動操作で症状が変わるか
  • 走行中と停車中で症状が変わるか
  • 左右独立エアコンの場合、左右で差があるか

点検の基本

いきなり部品を交換するのではなく、 「どこまでは正常に動いているか」 を確認していくことが重要です。

点検手順1|最低温度で冷風が出るか確認する

まずエアコンを最低温度、 例えば18℃やLOに設定します。

この状態で十分に冷たい風が出る場合は、 少なくともエアコン回路がある程度冷気を作れている可能性があります。

逆に最低温度でも冷えない場合は、

  • 冷媒不足
  • コンプレッサー
  • コンデンサー
  • 電動ファン
  • エバポレーター

など、冷却側の点検を優先します。

エアコンが冷えない原因全体はこちら

冷媒不足やコンプレッサーなど、 車のエアコンが冷えない・ぬるい時に考えられる原因全体は、 こちらの記事で詳しく解説しています。

点検手順2|最高温度で温風が出るか確認する

次に設定温度を最高温度、 例えば32℃やHIに変更します。

最低温度では冷風、 最高温度では温風が出る場合、 冷風側と温風側の両方を作る能力自体は残っている 可能性があります。

この場合は、 「冷えない・暖まらない」というよりも 中間温度の制御がうまくいっていない 方向へ点検を進めます。

反対に、最高温度にしても温風が出ない場合は、 ヒーターコアへの温水循環やエアミックス機構なども確認が必要です。

点検手順3|設定温度を段階的に変えて反応を見る

最低温度と最高温度の確認ができたら、 設定温度を段階的に変えます。

例えば、

  • 18℃
  • 22℃
  • 25℃
  • 27℃
  • 28℃
  • 30℃
  • 31.5℃
  • 32℃

といった順番で確認します。

通常は設定温度を変えるにつれて、 吹き出す風の温度にもある程度変化が見られます。

しかし、 18℃から31℃付近までほとんど冷風のままで、32℃にした時だけ急に温風になる ような場合は、温度制御側を疑う手掛かりになります。

記録しておくと便利

設定温度ごとに 「冷たい・やや冷たい・中立・ぬるい・暖かい」 など簡単に記録すると、変化が見えやすくなります。

点検手順4|エアミックスドアの作動を確認する

設定温度を変えても風温が変化しない場合、 エアミックスドアやアクチュエーターも候補になります。

エアミックスドアは、 冷たい空気と暖かい空気の割合を調整する重要な部分です。

アクチュエーターのモーター不良や、 内部ギヤの破損、 リンク機構の外れなどがあると、 設定温度を変えてもドアが正しく動かない場合があります。

可能であれば、 設定温度を変えた時にアクチュエーターが動く音や、 リンクの動きがあるか確認します。

ただし車種によっては、 インパネ内部にあり目視確認が難しいことがあります。

点検手順5|内気温センサーの反応を確認する

エアミックス機構が動いているように見える場合は、 内気温センサーの情報も確認します。

オートエアコンは、 実際の車内温度と設定温度との差を見ながら制御しています。

そのため内気温センサーが正しい温度を認識できていないと、 設定温度に対する制御が不自然になる場合があります。

確認する際は、

  • 吸入口が汚れていないか
  • センサー周辺に大きな隙間がないか
  • 車内の空気を正しく吸い込めているか
  • センサーの取り付け状態に問題がないか

を確認します。

内気温センサーについて詳しく知りたい方へ

内気温センサーの役割、故障時に出やすい症状、 確認方法については、 こちらの記事で詳しく解説しています。

点検手順6|センサー周辺の温度を変えて反応を見る

症状の切り分けとして、 内気温センサー周辺の温度を変化させ、 エアコン制御が反応するか確認する方法があります。

実際に当サイトで点検した車両では、 内気温センサーの先端部分を保冷剤で冷やして反応を確認 しました。

すると、それまでほとんど変化しなかった吹き出し温度に 少しずつ変化が見られるようになりました。

注意

センサーへ水分を直接付着させたり、 極端な加熱・冷却を行ったりしないでください。 あくまで原因を切り分けるための補助的な確認です。

点検手順7|外部温度計で温度変化を確認する

温度変化を数値で確認する時にあると便利

センサー周辺や車内の温度変化を確認する際は、 外部センサー付きのデジタル温度計があると、 感覚だけではなく数値でも変化を確認しやすくなります。

※故障診断専用機器ではなく、原因を切り分ける際の温度確認を補助するために使用します。

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この記事での使い方:
外部センサーを使って、 車内や内気温センサー周辺の温度変化を確認する補助 として使用できます。

※表示温度だけで故障を判定せず、 設定温度に対して実際の温度がどのように変化するかを見る参考値として使用してください。

点検手順8|診断機のデータを確認する

対応する診断機がある場合は、 エアコン制御ユニットが認識している各種データも確認します。

確認できる項目は車種によって異なりますが、

  • 室内温度
  • 外気温
  • エバポレーター温度
  • 日射量
  • エアミックス位置
  • 各アクチュエーターの作動状態

などが表示される場合があります。

実際の温度と診断機上の数値が大きく違う場合は、 センサーや配線、入力信号などを確認する手掛かりになります。

実際にこの手順で改善したパジェロの事例

当サイトで実際に点検したパジェロでは、 最初は 18℃から31.5℃付近まで設定を変えてもほぼ冷風のまま という状態でした。

そして、 32℃に設定した時だけ温風になる という特徴がありました。

そこで、

  • 設定温度ごとの風温を確認
  • 内気温センサーの反応を確認
  • 内気温センサーの先端部分を保冷剤で冷却
  • センサー周辺の隙間を仮に塞いで確認
  • 最終的に周辺の空気の吸い込み状態を改善

という順番で原因を切り分けました。

その結果、 設定温度に応じて吹き出す風の温度が 自然に変化するようになりました。

エアコン使用時にフロアが濡れる場合は別系統も確認

エアコンの温度制御を点検している時に、 フロアマットやカーペットが濡れている 場合は、温度制御とは別に エアコンの結露水排水 も確認したいポイントです。

エバポレーターで発生した結露水は、 通常はドレンを通って車外へ排出されます。

しかし排水経路に詰まりやズレなどがある場合は、 車内側へ水が流れる可能性があります。

センターコンソール横から透明な水が出る場合はこちら

実際にフォルクスワーゲン・アルテオンで確認した フロント左右のフロアが濡れ、センターコンソール横から無色透明の水が出る症状 について、 エアコンドレン・雨漏り・冷却水漏れの切り分け方を こちらの記事で詳しく解説しています。

点検時に注意したいこと

エアコン不調では、 症状が似ていても原因が異なることがあります。

特に、 「この症状なら必ずこの部品」 と決めつけて交換すると、 原因が別にあった場合は無駄な部品交換につながります。

また、冷媒回路には高圧の冷媒が入っているため、 配管の分解や冷媒の充填・回収などは 必要な設備と知識を持った整備工場などへ依頼してください。

安全のために

インパネ周辺を分解する場合は、 エアバッグや電装品の位置にも注意してください。 車種ごとの整備要領を確認できる場合は、 それに従って作業してください。

まとめ|設定温度通りにならない時は順番に切り分ける

車のエアコンが設定温度通りにならない場合は、 単純な冷媒不足だけでなく、 温度制御系に原因があることも考えられます。

確認する順番としては、

  1. 最低温度で冷風が出るか
  2. 最高温度で温風が出るか
  3. 設定温度を段階的に変えて反応を見る
  4. エアミックス機構を確認する
  5. 内気温センサーの状態を確認する
  6. センサー周辺の温度変化に反応するか確認する
  7. 外部温度計で変化を数値化する
  8. 診断機で実データを確認する

という流れで進めると、 原因を絞り込みやすくなります。

特に、 「最低温度では冷える」「最高温度では暖かい」「中間温度だけ制御がおかしい」 という場合は、 冷却能力だけでなく温度制御側にも目を向けることが重要です。

また、 エアコン使用時にフロアが濡れる・センターコンソール付近から透明な水が出る 場合は、 温度制御とは別に結露水ドレンの排水状態も確認してみてください。

原因を決めつけず、 正常に動いている部分と異常が出る条件を一つずつ確認する ことが、不要な部品交換を避けるためにも大切です。

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